『噛み痕』
秋に近付くと、アマゴ達の姿に変化が出てきます。
オスは特に、「鼻曲がり」となり、「牙が生え」、「背中が高く」なります。
終いには、鼻(顎)が曲がりすぎて、口が上下で合わなくなります。
それがまた、その口の大きく開くこと・・。
この画像なんかは、まずまず。
オスの口の大きく開くことは、その食性からすればオーバー過ぎます。
虫やら小魚を食べるためだけなら、ここまで発達する必要は無いような。
そもそも、「エサを噛み砕いて食べる」コトはしないハズなので、牙の意味もまた不思議。
サケの産卵風景をテレビ等で観た事のある方は、
雌雄ともにその口が大きく開く様をご存知でしょう。
咀嚼しない魚が、どうしてあのような口を持つのか?
今年の9月にNHKのテレビ番組で、
「ベニザケ」の水中画像を観ていて、これ等の不思議に大きく納得しました。
以前にも話だけは聞いた事があったのですが、
オスの魚(鮭科の)はまさに「噛み付き合って」ケンカするんですね。
それが相手の体に噛み付いて横咥えにするのですから、観ていて「スゴイな・・」と唸ったもんです。
それが産卵期が近付き、メスをめぐる争いの際、
「口が大きく、上顎が曲がって」いると、相手を噛むのに有利、
「上下に生えた牙」は、噛み付いた相手を放さない為、
「食べる為でなく、噛む為に発達した口」は、噛み合わせが悪くなっても関係ない。
さらには「体高があるほど」に、他のオスからは噛み付かれ難い。
つまり、あの体付きの変化は、「他のオスと闘う為」のもの、なんですね。
秋のオスアマゴを釣ると、偶にですが、背中に傷のある固体が居ます。
初めて見たのは何時だったか・・?
忘れましたが、当初は鳥かなんかにイタズラされたかと思っていました。
↑このオス。 ちょっと見難いですけど、背鰭の前に傷があります。
黒っぽく見えるのがそうですが、解りますか?
↑此方のは解り易いですね。
背中の盛り上がった、丁度一番高い位置。
鳥なんかに襲われたのなら、嘴ならもっと鋭く、爪なら複数箇所が傷付きそう。
上のヤツはややスマートですが、下のは結構な体高です。
となると、つまり・・・
「コヤツラを横咥えに出来る程の口と牙を持った、大きなオスが近くに居た」 事になるのか。
尺を超す魚に噛み付いて、ケンカに勝つ固体とは、どんなヤツだろうか。
この事を知っていた私は、↑上の青いオスを釣った時、
「イイ魚が出てくれた♪」 と、素直に喜ぶ反面、
「コイツを噛んだヤツは何処に居る?」 と、真剣に2匹目を狙ったのです。
ですが結局、私にはその“ケンカ相手”は仕留められなかったワケで。
その時期、その渓に居たであろう、一番のツワモノはどんなヤツだったろうか・・?
そう考えると、私の見た事のない、もっともっと「ゴツイ秋の魚」が居る。
ならばその魚に出会う為には、何をすれば良い・・??
ちなみに、同じ時期でもメスは争う必要は無いので、
丸っこい、大人しい顔付きで居るんですね。
ですがこの際、秋のメスはちょっと置いておいて。
クワガタでもカブトムシでも、また鹿でも何でも。
外見的に雌雄の姿が違う野生生物は、総じてオスのほうが格好良いと想うのは私だけか・・?
その「強く逞しいヤツ」との出会い、コレは来期以降、あるいは永遠の楽しみかも。
その出会いが成るとしても、早くても後1年は後のお話。
まずは今から、準備だけは着々としていこう。
今出来ることは・・意識の置き所の整理。
来期の始まりから考えるのは、その出会いの為の、釣り技の研鑽。
一番のヤツを見るが為、何かが足らない「今」と「未来の理想」の溝を埋めねば。
そんなこんなと・・・。
「鬼が笑う」と言われる、来年のお話に胸が躍ります。
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