山岳渓流を歩く
近くて遠い、と、渓流釣りをしていると、行き先の河川に思うことがある。
大した距離でなくても、何がしか気になる情報でも無ければ、足を向けないままの場所も多い。
今回は友人であるY氏のお誘いで、彼の遊び場を案内してもらう事になった。
ここはまさに、先に書いたような、私には未知の渓の一つ。
彼とは何度かお会いしているが、一緒に釣るのは初めてになる。
事前に色々と話を聞いてみると。
どうやら、初めての私が単独で行けるような場所ではなさそうだった。
そんな場所に行く機会を貰えた事に、まず感謝せねば。
早朝より、車を停めた場所から、まずは道なき山を歩く。
最近は道路から離れていない場所で竿を出すことが多い私には、妙に新鮮な感じ。
やや渇水のようだけど? さて、お魚さんたちはどんな具合かな?
まずは周囲を歩いてみる。
すると、居る居る・・ 淵で泳ぐ魚影を発見。 小粒なアマゴ達だ。
何と言っても、この透明度! 魚の動きが丸見え。
つまり魚の方からも、こちらが丸見えなんだろう。
岩陰から上流に向けて仕掛けを振り込むと、何と、一発で乗った。
小振りながら、綺麗な魚体。
随分と素直に出てくれた。
初めての渓で出会う一尾目は、何とも嬉しいもの。
それにしても綺麗な水だな~・・。
元は水と景色の美しさに惹かれて、この釣りを始めたのだった。
今にして釣りを始めた頃を振り返ると、透明度の高い流れを前にして、アプローチがどんだけ酷かったかと思う。
それは経験を重ねることで、今は多少マシなってる・・ハズ。
しかし、これだけのクリアな水、水中の魚まで観察できてしまうと、これまた自分の釣りの雑さが良く分かっちゃうのだ。
静かに近付くと、アマゴのパーマークが数えられるほど、水中の姿がくっきり見える。
そのアマゴが、竿を振った瞬間に居なくなったり。
また、何尾も見えているのに、一つも反応しなかったり。
これねぇ・・ 見えてるから分かるけど、普段の釣り場でも、きっと同じような事が起きてるよ・・。
この渓の不思議な特徴として、大場所の殆どが、波立ちの弱い瀞になっている。
それなりに勾配はありそうなのに、何でこういう流れ方なんだろ?
で、大体大場所の前後は細かく浅い瀬を形成していて、これと言った魚の着き場が少なそう。
なので、大場所をジックリ釣って、所々の小場所を狙う、そんな感じ。
魚の反応自体は素直で、上手くポイントに仕掛けを送れば、そこそこにアタリはある。
ただ、神経質なくらい静かに釣らないと、竿を振る前に魚が散っちゃうんだよね。。
Y氏に聞くと、この渓に惚れて、殆ど余所には行かず山遊びをしてるのだそうだ。
景色や雰囲気、ここで過ごす時間に、心が捕まっちゃてるのだろうね。
そこへ行くと私は、「釣り」に心が捕まってるので、何処へ行ってもガツガツしてるのだな(笑)。
この場所では、基本的にほぼ自然繁殖した魚達が相手とのこと。
漁協による放流などは無いそうだが、以前はイワナ一色の渓だったとも聞いた。
すると、このアマゴ達は何処から?
全体的に川虫も少ないので、魚の成育自体は良くない環境とも思える。
それにしては、見える範囲だけでも、小さいながらそこそこ魚の数は居る。
幾重にも不思議なところだ・・。
やや大きな滝と出合ったところで、この区間の釣りは終了。
美しい景色の中で、軽く食事休憩をし、山を歩いて車に戻る。
その道中、若干膝が笑い出しそうであったが・・(翌日は筋肉痛に襲われました・笑)。
ここでY氏とはお別れ。
Yさん、良い場所を案内くださって、ありがとうございました!!
またの機会に、よろしくお願いしますね~!
さて、まだ明るいし、時間はある。
折角来たのだから、各所見回って、竿を出してみることに。
今度は漁協の放流もある区間。
本流筋を探るも、殆ど生命反応がなかったので、先の区間のずっと下流に入ってみた。
上流部よりは砂が多いけど、ポイントの構成や水の色はそんなに違わない。
川が大きい下流域ゆえ、釣り手の身を隠す場所も少なくて、釣り自体は更に難しいようにも思う。
一つ気付いたのは、下流部にはカゲロウ類の姿が見られる事。
しかし、これがまた小さい小さい・・だけどこんな小さい川虫は、結構魚達の好餌なんだな。
釣れるアマゴも、砂地らしく、腹部の黒班が少ない。
上流部のアマゴと比べて、色合いも違う個体が出る。
こんな観察が楽しくて仕方ないのだけど・・欲を言えば、もう少し大きい魚が居ないかな、と(笑)。
近くて遠い渓には、色々な発見があった。
帰り道の車中、今日の釣りを反芻しつつ、次回の釣りを考える。
見知らぬ地を釣るのは、自分の釣りを見直す良い機会にもなる。
さて・・次はどうしてやろうか・・?
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