
「居付き」と呼ばれるタイプのアマゴ。
色が濃くて、何て言うのか、存在感がある。上流部に行くほどにこのタイプは多くなる傾向で、開けた渓流や本流では珍しい。
これらも同じくアマゴで、よく太って艶も良いが、色が薄い。
こちらは大きな流れで良く出会うタイプ。
同じ川の同じ魚なのに、何がこうも姿を分けるのか、想像するのも楽しみでもある。
「居付き」とは文字通りに、同じ場所に居付いていることが多いようで、リリースしておくと、しばらくして再訪した際、同じ個体を釣ってしまう事もある。
しかし繁殖期ともなれば、雌雄が互いのペアを探すはずで、同じ場所にジッとしていられないと思うのだけど・・いつ動くのかな?
色の濃い魚は、居付いた場所に溶け込む「保護色」を纏い、移動を繰り返す個体は同じ色に染まらず薄い体色となる・・のじゃないかと考えてるのだが・・?
大移動する、最たるアマゴの変化は、「シラメ化」だろう。
これまた不思議な魚で、生まれたアマゴ稚魚の中から、何割かの確率で、渓流に居残るもの、下流へ下るものが分かれ、その一部は銀色の鱗を纏って、大きく育ってから上流域へ帰って来る。
しかし、アマゴのままの姿で下流に向かう個体が居たり。
シラメになったのに、いつまでも上流部に残ってたり。
成熟してないのに戻って来てしまう銀毛個体や、何か色んなタイプが居る様子。
何処でどう動いて、育ったのか、魚に聞かなきゃ分からないのだけど、この行動が体色に現れるらしい。
私は学者でも何でもない、一釣り人なんで、「釣り」という行為を絡めて「こうではないか?そうではなかろうか??」と、釣り上げた魚の姿から、色んな事を考える次第。
イワナとの混生域においては、一般論として、泳ぎが得意なアマゴが優先種となる、と言われている。
流れの効いた場所に良型アマゴが着くのは確かだけど、例外は何処にでもあって、自然の中はそうそう単純に出来てはいない。
良型イワナとなると、それなりの構えの一等地に入ってたりもするし、流れの澱みに大アマゴが遊んでたりもする。
アマゴとイワナで同寸ならアマゴが勝ちそうだけど、どちらの魚種にしても、タイプが違えば付き場も違うだろうし・・?
私の場合はメインターゲットがアマゴで、同時にイワナも狙っている。
魚の姿や個性の観察をするのは、「どんな場所で」「どのタイプが」「どの釣り方で」・・等々、こうした実践で得た感触をデータとして、今後の釣りに活かしたいから。
それに渓魚の個性を見比べる事は、それ自体が非常に面白くもある。渓魚は一尾ごとの個性が際立っていて、どれも美しい。その中に私的な好みのタイプが居たりするので、サイズの大小ではなく、好きな姿型を探すのもまた楽しい。
難しく考えすぎない方が「吉」な場合もあるのだろう。しかし私は、色んなパーツを組み合わせ、難解なパズルを解くような、釣りのプロセスの構築が物凄く好きだ。
狙った場所で、選んだ釣り方で、好きなタイプを仕留める。この確率をもっともっと上げていきたい。
今回は面白く珍しい事があった。
大場所で陣取ってるのがイワナで、瀬のちょっとした波立ちに居るのがアマゴと、クッキリと着き場が分かれていた。個体差の問題ではなくて、この日に関しては種別の話。しかしこれまた何故なのか、全然分からない。
しかも不思議なことに、コイ科の魚が静か。
普段は煩いくらいに出てくるウグイなどが大人しい日、狙ってまでコイ科を釣ろうとするマニアックな人が、私以外にどれだけ居るのかは知らない。
コイ科の魚が何故に出ないのか(もしくは出が少ないのか)、これは渓魚の行動に何かの関連性がある(ハズ)。
ならばウグイやカワムツらは何処にいて、今どうしてるのか?
状況を考えてみると。
1・空梅雨で渇水が進んでいる。
2・朝の気温は8度で、かなり冷え込んだ後、汗ばむほどに上昇。
3・釣り人と思しき痕跡多数で、プレッシャーは高め。
4・川虫類は例年と同じ程度の成長の様子。
・・・・・
と書き出してみても、やはり今日の状況が理解できるわけでも無い。
単純な話、釣れたら「楽しかった!」と想うし、予想がハマれば「してやったり!」と想う。
ややこしい理屈を並べるのは、頭の中身(経験)を総動員するため。
充実感とか満足感とか、そうした感覚が欲しくて、その為には真剣に釣りをしないと、と考えるからだ。
情熱と言うか、掛けた熱量と、出せた成果に対する感動の大きさは比例するのでね。
今回は釣果だけ見れば、十分な釣行だった。
しかし解けない問題が沢山あり、次への課題が幾つも脳内に浮かぶ。
「もっと釣れるようになりたい」と釣りをしてるのに、釣れたからと満足が中々出来ない。
釣れば釣るほどに、目標が高くなり、課題が増え続ける。
このループが渓流釣りの楽しさそのものでもある。
釣りの最中、見た事ないほどに太くて大きい山ブキを見付けた。
付け根が1・5センチ以上もある。
魚はリリースしても出会いの感動が消えないけど、山菜は食べないと出会いの喜びが完結しない。
綺麗な空気と景色の中、美しく逞しい渓魚を追い掛け。
美味しい山菜を採取し、欲張って夏キノコを探してみたり。
知識と技術が向上するほどに、残る成果が増え、楽しさが増す。
何と素晴らしい趣味かと、心捕らわれて止まない。
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