漁協の稚魚放流
稚魚放流では増えてない 魚にもっと自然に産ませよう!
サケ、ヒラメ、シシャモ、ニシンなど、日本では人工的に孵化させた稚魚を放流して、水産資源を増やそうという試み種苗放流が、全国で約70種も行われています。恐らく、多くの皆さんは、その効果に何の疑問を持つことなく、孵化させた魚の放流に期待していることでしょう。
近年、「稚魚放流」に疑義を呈する記事を目にする機会が増えました。
私も稚魚放流は自然に生まれた魚に近い育ち方をするものと聞いていたし、そう思ってました。つまり自然河川の中を泳ぐ魚が増え、繁殖力もあるとのイメージですね。
水産庁の資料でも、
渓流魚を増やすために全国で行われているのは「放流」ですが、それが常に優れた増殖方法ではないことが、これまでの研究で明らかになっています。
と書かれています。
海でも川でも、放流魚の追跡をすることで、色んな事が分かってきてるんですね。
またここに長野県雑魚川の事、放流無しの、禁漁区指定などの手法が紹介されています。
水産庁がこう書いていても、各種の放流は行われます。
漁協には「魚族の増殖」が義務付けられており、稚魚〇匹、成魚×キロ、と言った情報が公開されます(放流量水増しなど、ウソ情報もあるようで、それはいかがなものかと)。これらは客寄せ的な狙いもあるのでしょう。
漁協と養殖業者の関係もありますし。実績がないと、補助金が下りないから・・とかも聞きます。漁協にも色んな絡みがありますね。
各データでは、放流魚の生き残り率はそんなに高くないこと、繁殖行動までいく個体は少ない事、などが示唆されていて、本当に魚が増えるかどうかで考えると、放流量が増えれば良い、と言うものではないようです。
生き残り率が低くても、放流すれば確率の問題で、定着しその後繁殖行動をする魚も居ます。成熟し切らずとも、サイズがそこそこに育てば、釣り人の相手には十分なります。その観点からは、放流は無意味ではないんですよね。理由色々で、放流事業自体は継続されるものと想います。
私の過去記事です。
稚魚放流の定着・繁殖率で言うと、養魚場で継代するほどに、それは低下するようですね。
稚魚だけでなく放流事業全般、「どんな魚を」「何処に」「どれだけ」は考えた方が良いのじゃないかと。
天然種でも、災害などで環境が荒れれば、生息数は減りますからね。そこへ放流魚を沢山入れたとしても、それは厳しいでしょう。
個人的な意見で、種沢の禁漁は賛成です(全ての支流とは言わなくても)。
小谷を禁漁区に指定して、自然産卵を守る方向を増やせば、資料でいう所の「しみ出し効果」は期待できそう。
渓流の禁漁期、禁漁区の設定については、もう極論すれば、釣り(漁)を辞めれば、魚族繁殖の問題の大部分は解決なんですよね。
私は釣り人ですから、それじゃ困る訳です。それは各釣り関係の方々もでしょう。
釣りを通じて、川と周囲の自然環境と魚達に触れることが出来るから、気付くこと、そこで行動することがあるのも確かですし。ってこれは、完全に自分擁護ですけども。
魚族放流を否定する気はないですが、放流量と内容の話だけでなく、その後の繁殖・定着は大事なんじゃないですかね。
河川を管理する漁協には、持続・再生産が可能な運営を期待したいところです。
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