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2023年1月 8日 (日)

サクラマス(遡上魚)の危機と現代の環境

「サクラマスのまもり方・ふやし方」パンフレット|水産総合研究センター「北海道区水産研究所」

 

興味を惹かれる資料でした。

 

サクラマスがいま、危機的な状況になっています

 

 

太平洋側のアマゴの降海型のサツキマスも、北陸河川においての鮭の遡上が激減していることも事実。

海産の鮭類に何が起きているかは、温暖化や海流や、諸説が唱えられています。ですがおそらく現在の状況は単一の理由でなく、複合的に絡んだ話で、「何か」を変えたら劇的に回復するとか、そうではなさそう。

 

そこで資源回復をしようと、放流を増やそうとの考えもあるわけですが、放流量が増えても、必ずしも魚の総数は増えないことは分かってきてるようです。

ただ、漁協には放流の義務があり、その実績がないと補助金が下りないなど、制度上の話も聞きます。今後さらに研究が進んで、効率の良い増殖法が見付かると良いなと、期待したいところ。

 

それでも資料のように、今時点での調査の結果が出ている内容については、打てる手は打っていかないと、と思う次第。とは言え、私のような一介の釣り人に出来ることは殆どないかもしれない。歯痒いところではありますが。

特定の魚種が減ったら→放流 あるいは→養殖 のような、単純回答ではないと思うんですよね。勿論、そうした取り組みを真っ向否定するのではなくて。

 

 

資料の「4」に放流は種苗を選んで慎重かつ適切にとの項が出てます。

何でも魚を放流すれば増えるものでもありません。サクラマ
スは、川毎に遺伝形質(遺伝子のタイプ)や生態特性(例えば
親のサイズや産卵、降海時期など)が異なっているので、他
の川由来の魚を放流することはそれらの性質を失わせること
にもなります。
また、その他、すんでいる川の環境(水温や勾配、水量、河
畔林の有無など)によって、すめる量や成長にも差が生じる
こともあります。 
元々その川にいる魚を大事に育み、増やしていくこと
が何より大切です
資源が減ったりして放流しなければならない時には、まず、
その川由来の種苗にしましょう。また、その場合でも、何世
代も池で飼われていた系統の種苗はさけた方が良いでしょ
う。

これはサクラマスに限らず、ですね。

私自身はアマゴ域を主に釣っていて、ヤマメ域の事は疎いのですが、漁協の放流事業については、正直、疑問を感じることは少なくないです。全国各地の内水面で、現状の放流魚はどうなっているでしょうか?

 

漁協の放流は増殖を目的としていますが、それは「釣り人が釣る」ことにフォーカスしている現状はあるかと。内水面漁協組合は漁師の集まりではないですから、活動が「游漁」に寄るのは仕方ないかもしれません。

成魚放流やC&Rなどはその形態でもありますね。これらは魚族の繁殖とはまた違う方向性です。

 

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サツキマスやサクラマスの歴史として、氷河期までは全てのアマゴやヤマメは降海型で、その後河川残留型が定着したと考えられています。

 

現代ではダムや大きな堰の上流には遡上できない環境が多く、そうした河川では海と山との繋がりは断たれています。

ところがそのダムや大きな本流に、上流から下降する個体群が居ます。本来であれば海まで行くはずの魚が、途中の水域で成長し、海育ちの魚と同様に再び河川上流に遡上し、繁殖行動をする。下降型の鱒類は河川型よりも平均して大きくなります。また、大きく育つ遺伝子を持つ魚が下降型になる率が高いことも知られています。

 

源流に近い山間部、海からの距離が離れた水域ほど、河川残留型が多くなるデータもあります。これは我々釣り人は誰でも知っていることですね。

一個体が一回の繁殖で残す子孫の数は、下降・遡上型の方が多い(その代わりに繁殖回数が少ない)。良くも悪くも現代の環境は、大型が育ちにくい上流部に、多くの子孫を残す可能性もあり得ます。(遡上が出来ない環境に棲む魚の繁殖については、今回は省略)

 

これらを「現代の魚」と呼ぶべきか判りませんが、その魚の系譜は、元々の地元の遺伝をどれだけ持っているでしょう?

ダムや堰堤の出現で出来た環境で育ち、行われてきた放流事業で生まれた、その子供たちが私達が釣りをする相手なのではないか。私のキャリアでは、河川の構造物も放流もない時代の魚を実際に見ておらず、どうしても想像に拠るしかない部分があります。つまり、分からないことだらけ。

また、現代の陸封型遡上魚が、河川型魚と交配するとして、その子孫はどんな形質になるのか、私は関心があります。勿論、良い意味で持続性の高い魚族繁殖があって欲しい。

 

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種の保全の意味では、河川型でも遡上型でも同じ魚なので、大型の繁殖機会があることは良いことのはず。

ただしこのことは、人の手が入った環境で逞しく生きる数種の命を育てることにはなっても、元々の鮭科の遺伝である、降海と遡上が無くなって良いとはならないです。

 

鮭科の魚が海から遡上し、産卵後は斃死します。この際に海の栄養素が多量に運ばれてきて、その身体が陸上・水中の生き物たちの餌になり、植物も昆虫も、様々なものたちが育っていきます。

こうしたサイクルが閉じることは、自然環境には好影響にはなりません。海から遡上する鮭類には、自然の中での役割があるのです。だからと言って、ダムを破壊するとか、そうした極端なことは現時点では無理です。

 

 

私自身、北海道道東地区に夏に釣りに行った際、群れを成して遡上するサクラマスやカラフトマスを見ました。

河川型のヤマメやイワナの魚影も非常に濃く、海山川の自然の豊かさであろうと。

残念ながら普段の私の遊び場では、あのような魚影の濃さは見たことがなく、群れを成す遡上魚も今は幻になりつつあります。しかも遡上魚減少は、この数年で非常に顕著になったと私は感じます。

 

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私は釣り人ですから、環境の良し悪しの判定として、「自然の生まれ育ちと思しき魚が良く釣れるかどうか」を挙げます。

多くの魚が息衝く河川は、対象魚だけではなく、動植物も含めた自然が健全なのでしょう。

 

資料によれば、「危機的」とまで評されるサクラマスが、環境如何では増殖する可能性は示唆されています。

海からの遡上魚が増えることは、森の生育を助け、他魚種を育むことにもなり得る。

こうした話題を私のような釣り人が考える際、「釣りたいから」も動機の一つで良いかなと想っています。釣りを通すことで、環境を体感できますから。

 

 

 

 

 

 

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釣り語り」カテゴリの記事

コメント

あけましておめでとうございます。
今年もブログ主さんの記事楽しみにしてます(^^)

自分の地域だと
漁協が放流する養殖魚は野生の魚に餌取りで負けるので下流にダム等リザーバーのある渓流ですとダムに降る個体が多い様です。成魚放流魚は流れの弱いポイントを好むので大瀞やダムといった止水ポイントが安心できるのでしょう。

自分は東北のヤマメ域なのですが
野生魚オンリーの川だと餌取りで負けたメスの個体が下流域に降るケースが多い様で、秋に遡上してくる鱒の殆どはメスばかりです。山間部でも標高が低い東北のヤマメ河川では赤い雄の鱒が確認できるのは禁漁後になってしまう事が多く、私が通う川では湖沼型の秋鱒は厳しいですね。9月中旬でも銀色の鱒がいるくらいでしたから(笑)

からす天狗さん、
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします(^^


養殖魚が降りるのはありそうですね。
放流の魚の定着・繁殖の率が低いことは分かってるようですが、それが下降して遡上魚に育った場合、率がどの程度変わるのか、興味深いです。
近年は親魚や発眼卵の放流も増えてきましたので、それが今後どうなるかと思っているところです。


からす天狗さんは東北の方なのですね。
先回のコメントでも感じましたが、渓魚の生態に精通しておられますね。
此方でも遡上系の魚の動きは、かなり地域差が出ます。私ではある程度慣れた地域の傾向くらいしか掴めていなくて、毎年四苦八苦しております(-_-;)


私は聞いた話でしか東北を知らないのですが、環境設定が色々と此方とは違いがあるのだろうと想像しています。今後も色々お聞かせ頂けると嬉しいです(^^♪

アイさん、こんにちは。
親魚放流や発眼卵から孵化した魚ならコンディションもいいでしょうから
漁協が力を入れている地域のアマゴの質の高さも納得ですね。

親が養殖魚であれ
野生魚と同じ環境で孵化する事は大きな意味があると思いますし、その魚が厳しい自然界にもまれてどんな姿に成長していくのか?性格も遺伝するものなのか?興味深いですね。

こちらの漁協は
ヤマメに対しては
あまりやる気のある漁協では無いので
発眼卵や新魚放流は未だ採り入れてないんです。稚魚放流と成魚放流といった古い体制のままですね。

自分が釣りたい魚を求めると
地形的に養殖魚を運搬、放流するのが困難な水域や養殖魚が遡上できない水域まで足を伸ばさないとなかなかいい魚には出会えない感じです。

からす天狗さん、こんにちは。

東北地方は渓魚の宝庫みたいなイメージがありますが、事情様々なのですね。
そちらの漁協がヤマメに力を入れないのは、鮎河川だからでしょうか?

私は岐阜県在住で、中部圏が主な釣り場になります。全体的には今のところ漁協の渓魚放流は、やはり稚魚と成魚が多いようです。
発眼卵や親魚はまだ取り入れられてからが浅いので、今後良い方に向いてくれればと。
仰られる通り、自然に孵化した魚たちが、その後どう育つか、また、繁殖力がどうなのか、興味深いですね。


私は成魚は狙って釣らないので、放流場所近くはあまり立ち入りません。その意味では、ある意味の釣り人の棲み分けかとも感じます。

漁協の放流の及ばない奥地には、見惚れる野生魚も息衝いています。そうした魚を大事にしつつ、一般のフィールドでも、河川育ちの良い魚が増えて欲しいと思っております。

アイさん、こんばんは(^^)
岐阜県にお住いなんですね!実に羨ましい環境!自分アマゴ域にはまだ遠征した事がないのですがピンク色の雄の秋鱒には憧れますね。

東北は沿岸部はサクラマス河川、内陸部だとイワナ河川に人気が集中するので、自分のすむ内陸部では漁協もイワナの方に力を注いでる感じです。

昔はダム下の本流にもヤマメのいい河川があったのですが、河川工事でやられ現在は養殖アユとコンディションの悪い養殖ヤマメが解禁日に賑わう程度の川になってしまい、魅力に欠けるので地元で釣りをする機会は無くなりましたね。

こちらは
豪雪地帯なので雪代が収まるのが5月下旬。春先~5月の連休まで鱒を狙いに県外の沿岸河川へ通い、梅雨~初夏まで北関東の本流へ通い、渓流はお盆過ぎに入ってから東北中心にダムよりも上の水域で大ヤマメや湖沼型の鱒を狙う感じですね。

からす天狗さん、こんにちは。
周年、大鱒狙いの釣行なのですね。

当方岐阜をそのように言って頂き、ありがとうございます(^^♪
ですが残念なことに、私の住む地域には、渓流魚が居ないのです・・。

秋の婚姻色では、赤、茶、黒、ピンクなど、色の出方が様々にありますね。
東北からアマゴ域だと、関東以南で、遠いですね・・私も東北は行ってみたいですが、未踏のままです。
利根川にはずいぶん前に、一度だけ行きまして、まぁ・・遠かったですね(;^_^A

地元はともかく、日帰り圏内に渓流が多い環境ですので、私は釣り場には恵まれていると思います。
此方ではイワナも居ますが、漁協が特に注力している河川は多くないです。その代わり、鮎のメジャー河川は沢山ありますね。本流域は夏場は鮎師だらけで、網解禁後は渓魚釣りには厳しいことになります。中々どこも、簡単な環境設定は無いですね・・。

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